家庭で出来る鯉料理。冬の風物詩「広沢池の鯉上げ」を楽しむ。
この記事は去年の暮れに公開しようとちまちま書き進めていたものを下書きに入れてそのまま忘れていたもの。笑
ブログカードのコードすら忘れる勢いでブログを放置していたことに反省しつつ。
広沢池(ひろさわのいけ)は京都嵐山の近くにあるため池で、平安時代には近くに遍照寺が創建され観月の名所として親しまれていた。当時の遍照寺はもう残っておらず、後に復興されたものが今も池の南に存在している。ちなみに今でも月は非常によく見えるが、横のクソデカ宗教施設が気になってしまう立地となっている。笑
勧誘される訳でも無いので池とはあまり関係が無い様だが、心霊主義系の宗教で年会費はMENSAの2倍。非常に綺麗な庭園を持ち、秋には一般公開も行われている。
広沢池では毎年12月上旬に池の水を抜き「鯉揚げ」として鯉、モロコ、フナやエビなどを販売している。そして土をしっかり天日で干す事で土中の窒素が空気中に発散され、リンを水に溶け出しにくくして水中の余分な養分を減らし、水質が改善されるという仕組みを利用して4月にまた稚魚を放流し、これを1年の養殖サイクルとしている。池の水を抜き始めると上がった魚を狙った水鳥たちが沢山池に訪れる。これ京都検定に出ます。

ちょうど鯉を買いに行くと「カワセミがそこにいるよ、こっちにおいで」と全然知らないバードウォッチャーのおじいちゃんに呼んでもらい人生で初めて生のカワセミを肉眼で見る事が出来た。
非常に人慣れしているカワセミで、毎年この辺りにつがいで出没する様だ。

料亭料理人も仕入れに来る仕上がり

人生で初めて鯉を買って捌いて食べた。結論だけ言うと
かなり美味しい。
ちなみに川魚なので事前に寄生虫については事細かに調べている。鯉及びフナなどのコイ科の淡水魚は生食する事によって肝吸虫に寄生されるリスクがある。サワガニなどの肺吸虫よりも発見が遅れる場合があり非常に危険。お前はペットのサワガニまで食べようとしていたのか?いやいやまさか、そんな。
でも「鯉のあらい」食べたいよね〜!!
※肝吸虫の第一中間宿主であるマメタニシが絶滅危惧種に指定されてから大型魚による感染が減ったという事実と念の為生息域の確認。あとは健康診断及び体調が優れないと思った際には検便する事を決まりとし、また5切れのみとした。プラジカンテルという特効薬も存在している。
勿論管理された食用の養殖鯉であっても生食は推奨されていないので、良い子はマネしないでね。きちんと確認が取れていてあらいを提供している飲食店で食べてください。
この記事を書いている現在食べてから4ヶ月ほど経っているが、今の所なんの症状も出ていない。肝臓なのでまあ症状が出なくても感染している確率はゼロでは無いと思うが、こういった事が時折頭にちらつくのが嫌な場合は加熱して食べる事をオススメする。ちなみに加熱しても超美味しい。
鯉は臭いと言われているが、広沢池で養殖された鯉には全く臭みがなく加熱後もふわふわで肉厚。非常に甘みが強い白身となっている。
鯉の金額は重さによって前後する。ノリのいいお兄さんだったので「初めて食べます!!」と言ったら「一番重いやつにする!?」と一番重いのを選んでくれた。笑
2500円くらいだった。看板によればキロ1000円なので約2.5kgの鯉。他の人がモロコとエビを好んで買っていたのでそちらも気になって500gずつ購入。
購入後元料理人をしていたというお爺ちゃんに話しかけられたのでオススメ料理を聞いてみると「こいこく」か「煮込み」がいいと言ってそのままパチンコ屋に消えていった。
こいこくは聞いたことの無いワードでピンと来なかったので帰宅後に検索してみるとどうやら鯉の郷土料理のようだ。
今回は他にもやってみたい料理があったので、煮込みにする事にした。
鯉の捌き方
鯉の捌き方はこちらの動画を参考にさせてもらった。
まずは出刃包丁の棟で眉間の上を打ち気絶させ、尾から刃を入れて2枚におろす。
大きくて滑って捌きにくかったので気絶させたあとはタオルを使って固定しながら捌いた。当然血だらけになるので、捨ててもいい綺麗なタオルがあると便利。
頭を落として身を開き、内臓を取り出す。真ん中で割って、中骨に沿って切り3枚におろす。その後腹骨をすき、皮と身の間に包丁を入れて皮を剥がす。
ちなみに動画みたいにスムーズにはいかず、サイズも大きいからか皮が分厚くて切り落とすのに時間がかかって結局腹はキッチンバサミで切り開いた。大きい事を除けば他の魚と大差ない。苦玉だけ潰さないように。

卵が入っていたのでゴミを取って酒で洗って一緒に煮込むことにした。

一品目:鯉の煮込み

酒、しょうゆ、みりん、砂糖、生姜を使ったシンプルな煮込み料理。
弱火で2時間くらい煮込み、一旦冷ましてから再加熱していただく。
料理としてかなり簡単な割に安定して美味しいので非常にオススメ。身も卵も鱈子などに比べてしっとりしていて煮込んでも一切パサパサしていない。高級料亭の味。
一つだけ気になると言えば鯉は身の真ん中に非常に殺傷能力の高そうな形の骨が入っているので、誤飲に注意。

圧力鍋で骨も丸ごと食べられる様に煮てしまうのがいいのかもしれない。
2品目:鯉のあらい

前述のとおり寄生虫の件があるので、自己責任で。しかし臭みもなく身がコリコリしていて非常に美味しかった。
これは骨ごと薄く切って軽く湯引きしてからワサビ醤油でいただく。寄生虫リスクが無ければ好んで食べる人も多いだろうなという食感。
3品名:鯉の南蛮漬け

これも普通の南蛮漬けと同じ作り方。こちらも食べる際には骨に注意。
食べやすいサイズに切った身に生姜と醤油で下味を付けて片栗粉をまぶし揚げ焼きにする。ピーマン、玉ねぎ、にんじんなどの付け合わせ野菜を細切りにして、醤油、酢、砂糖、水を混ぜたものに漬け、そこに揚げ焼きにした鯉の身を入れる。30分〜1時間置いて完成。
これは変わった骨が入っている事を除けば正解の食べ方と言っても過言では無いくらいの美味しさだった。多分唐揚げでも美味しいのだと思う。
個人的な魚類の唐揚げ界隈ランキングではあんこうに軍配が上がっているのだが、油を通した白身ではその次に美味しい。
骨さえ避けられれば。上記の理由から子供や老人の食事としては向かないか煮付けが適切だと感じた。
4品名:鯉の西京焼き

京都と言えばというところで、西京味噌にみりんと酒と砂糖を混ぜたものを作ってすいた腹の部分を1日漬けオーブングリルで加熱。
これも美味しかった。食べやすさの観点から見ても配点は高め。西京焼き定番のサワラとの違いを挙げるとすればとにかく身がフワフワで白身特有の硬さが無い。
5品目:鯛のかぶと煮

これはかなり洗ったが鱗がのこっていたこともあり少し臭みがあった。しかし魚好きとしては頭を食べずにはいられない。頬肉が一番美味しいのだ。レシピは煮付けと同じ。
結局どれが一番美味しかったのか?と言われたら最初の身の煮付けだと答えると思う。よって煮付けの勝利。卵の食感が独特なので是非とも一度食べてみて欲しい。
番外編でモロコとすじえびの料理レシピ

こちらはモロコの天麩羅。かなり定番なところ。モロコは氷水で仮死状態にしてよく洗い、小麦粉と炭酸水と卵を軽く混ぜた液につけ油で揚げる。身はフワフワで、天つゆではなく塩がオススメ。盛り付けに使った紅葉の葉は散歩の途中で犬が通りそうな地面以外のところに落ちていたものを拾って洗って盛り付けてみた。0円盛り付けの割にはお気に入りの出来になった。

お次はモロコの甘露煮。これも非常に美味しくて日持ちもするのでおにぎりに挟んでもよし、お茶請けにするもよし。作り方は普通のイワシの甘露煮と同じで、こいくち醤油、酒、みりん、砂糖、水で煮詰めていく。身が柔らかいので弱火〜中火で、最後は取り出して汁だけ煮詰めたものを絡ませると綺麗に仕上がる。
ところでこのモロコは立て看板にはモロコとしか表記がなかったが、身体に黒いラインがあり成長したものには口髭があるのでタモロコかと思う。元気な個体を数匹水槽に入れていたら4ヶ月で天ぷらにされた仲間たちの3倍のサイズになり、毎日私に「おまえうまそうだな」と言われ続けている。

こちらはすじえびのかき揚げ。これもかなり美味しかった。モロコと同じく氷水で仮死状態にし、刻んだ玉ねぎとにんじんと共に小麦粉、片栗粉、水と共に混ぜて、鍋に2つ入るくらいのサイズで四角に切ったクッキングシートを4つ折りに折り目を付けて真ん中に具を乗せて紙ごと油へ入れる。かき揚げ機のようなものを所持していない場合、こうする事でバラバラになるのを防ぐことができる。かき揚げがくっ付くと紙は自然に剥がれるので回収しておく。初めは塩、その次は天つゆがオススメ。桜エビよりもボリュームがあって、かなり豪華なかき揚げになる。見た目も華やかでさっくりもちもちとした食感。泥臭さはなく、非常に美味しい。

こちらはチャレンジ料理ですじえびのゼッポリーニ。ここまで定番和テイストの料理で来たので変わり種を作ってみた。
ゼッポリーニはイタリアの所謂揚げパンで、おやつや朝ごはん感覚でいただくことができる。
まずはパンを発酵させる。強力粉、薄力粉、塩、砂糖、ドライイーストでいつものパンを作りそこに青のりを加えてよくこね、こたつで放置発酵させる。こたつが常設されてない人は電子レンジで。すると1時間半〜2時間ほどで2倍くらいの大きさになるので、そこに素焼きにしてフードプロセッサーで砕いたスジエビを加えてよく混ぜ、一口大にして油で揚げる。
私はちょっと揚げすぎたので外がカリカリのゼッポリーニになってしまった。笑
中はもちもちしていてエビの風味が口いっぱいに広がる。揚げすぎなければピザの様な食感になるはず。
というわけで淡水生物のフルコースはこれにて終了。なかなかいい体験だった。ちゃんとした養殖の鯉は美味しいので、機会があれば是非チャレンジしてみてほしい。